FC2ブログ
カリバネボタンの主催、演出、脚本、役者です。ブログ名を改名しました
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
裏話をひとつ
2005-09-17 Sat 01:10
まあ、そんなに出し惜しみしたところであれなので、今回最大のエピソードを公開してしまおうかと思います。
役者の怪我なんて本来は主宰としては恥部なのですが、これは「Rusted Hero」にとってあまりにも重要なファクターとなったので、少しお話しておきたいと思っていました。


それは、劇場入りした仕込みの日だった。翌日に本番を控え、美術、照明を仕込み、午後から細切れのリハーサルやっていた。
芝居の序盤の、曲に乗せて役者がぐちゃぐちゃ動くシーンの稽古。何度か演出確認のため自分抜きで稽古をやって、最後に僕も入って最後の稽古をしていたときだった。
大音量の中、役者は確認済みの動きをもう一度繰り返す。僕は出番まで舞台袖で待機していた。
いつもどおりの大音量の中から、その声が聞こえてきた。

「いてえっ!!」

明らかに常軌を逸した叫び声だった。何が起こったのかわからないままおやと思って幕間から覗いてみると、役者が一人倒れている。

おかしい。あんなところで倒れる演技はないはずだ。時間がないのに何ふざけてるんだ。あの瞬間の僕は、舞台上で起こっている重大さに全く気づいていなかった。
お構いなしに音響の大音量は流れている。それでもその役者は膝を抱えたまま動かない。
おかしい。本当におかしい。何であいつは膝を抱えてるんだ?どうして側にいる役者は青ざめて立ち尽くしてるんだ?おかしい。なにかがおかしい。

「ストップ!ストップ!」無意識のうちに僕は舞台に飛び出し、音響さんに叫んでいた。
残りの役者が飛び出してくる。「どうしたの!」
「膝の関節が・・・」倒れた役者はかろうじて搾り出すように、膝の関節が外れた、というようなことを言った。全員が青ざめた。
しんと静まり返った劇場の中を
「うわああ!いてええ!」と彼の悲鳴だけがこだまする。
悲鳴というのは、本当に痛いとき、本当に恐ろしいときにしか出ないものだ。同時にそれは、事の重大さを周囲に、僕に知らしめる。
とにかく何とかしなければと、足を冷やそうとする者、救急車を呼ぶ者、体を楽な体制にしてやろうとする者、全員が必死に頭を回転させていた。

非常に不謹慎なことかもしれない。このとき僕は、彼の対処は完全にみんなに任せ、別のことを考えていた。彼の怪我の度合いによって、公演にどのような影響が出るのか、ということだった。怪我した本人はもとより、周りの人間への影響が気になった。おそらく何人かは公演中止を頭に浮かべただろう。何せ、本番は明日だ。代役を立てることは絶対に不可能だし、彼がそもそもどれくらい重傷なのかが分からない。

程なく救急車がやってきて、彼は何とか運び出されていった。

つづく
スポンサーサイト
別窓 | コラム | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<<裏話をひとつ2 | ちらかしノート | 「おみ」という人がいる>>
この記事のコメント
top↑
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
top↑
| ちらかしノート |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。